低ければよいとは限らない — ESD トレーの表面抵抗はどの範囲を選ぶべきか

表面抵抗は低ければよいとは限らず、各範囲がそれぞれ異なる役割を担います。導電性(104 Ω 未満)は、制御された経路がある場合に電荷を非常に速く移動させます。静電拡散性(104 以上 1011 Ω 未満)は電荷の移動を遅くしてピーク放電電流を下げるため、CDM 感受性の高い部品との直接接触にはより安全な選択となることが多くあります。帯電防止 — より正確には低帯電 — は抵抗範囲ではありません。摩擦による電荷の発生が少ないという意味であり、接地経路のない輸送時にこそ重要になります。
技術的な課題
「いちばん導電性の高いトレーをください。うちの部品は非常に敏感なので。」
このご要望は、想像以上によく伺います。理にかなっていますし、正しい場合もあります。ただし、多くの方が考える理由によってではありません。
なぜ起こるのか
購買仕様書でよく使われる三つの用語は、同じものの三段階ではなく、三つの異なる挙動を指しています。
| 範囲 | 抵抗値 | 役割 |
|---|---|---|
| 導電性 | 104 Ω 未満 | 制御された経路がある場合に電荷を非常に速く移動させる |
| 静電拡散性 | 104 以上 1011 Ω 未満 | 電荷の移動を遅くし、ピーク放電電流を下げる |
| 帯電防止(低帯電) | 抵抗範囲ではない | 摩擦による電荷の発生が少ない |
前提として誤解されやすい点が二つあります。
- シールドは別個の特性であり、別途試験が必要です。 抵抗値から推定してはいけません。
- 導電性表面への直接接触は、CDM リスクが管理されている場合に成立します。 帯電した部品が非常に低抵抗の表面に触れると、その部品自身のピンを通じてナノ秒単位で放電します。接地だけではこのリスクを排除できません。CDM 感受性の高い部品との直接接触に静電拡散性がより安全とされるのは、このためです。
低帯電が最も重要になるのは、放電先となる接地がない輸送時です。
熱成形 ESD トレーを承認する前の四つの問い
1. 抵抗はどこで測定されたか
コーティングしたシートは、最も延伸される部位で約 1 桁低下することがあります。ある成形済みトレーの測定では、同一の 2 点プローブ・同一条件で二か所を測定した結果、平坦部が 105 Ω、高延伸部の R 部付近が 106 Ω でした。いずれも静電拡散性の範囲内ですが、合格か否かは 御社の 仕様によります。
平坦なシートだけでなく、完成したトレーで測定してください。平坦部は ANSI/ESD STM11.11、小面積または非平面部は STM11.13 によります。
2. このトレーは何回循環するか
表面コーティングは取り扱いと洗浄で摩耗します。リターナブルトレーであれば、カーボン練り込みや永久帯電防止のほうが価格差に見合う場合があります。
3. 倉庫はどれだけ乾燥するか
移行型帯電防止剤は湿度に依存します。供給元のデータでは、50% RH と 12% RH の間で 1 桁の変動が示されています。
4. 実際に接地経路があるか
接地経路がなければ、トレーは蓄積した電荷を確実に逃がすことができません。
エンジニアリングノート
コストの序列はおおむね、コーティング < カーボン練り込み < 本質的静電拡散性ポリマー の順です。
抵抗値だけでトレーが安全になるわけではありません。接触箇所、帯電挙動、部品の感受性、成形による影響、そして接地経路 — すべてが関係します。
Good packaging should be practical, not just presentable.